業務中の交通事故は雇用者側に
「運行供用者責任」の発生も
会社名義の車による事故では、当事者となった従業員だけでなく雇用者側にも「運行供用者責任」が発生し、責任が問われるケースが少なくありません。
また駐車違反を繰り返し車両の「使用制限命令」が出された場合、業務に与える影響は大きなものになります。
安全運転を毎日意識することが大切
車を運転する業種や業態によって、求められる運転技術のレベルに違いはあるものの、すぐに技術を高めることは困難です。しかし運転中のスマホ操作厳禁など、絶対に守らなければならない交通規範の遵守は、毎日の業務で繰り返し意識づけすること大切です。
安全運転を促す運転日報(無料配布)
社用車の管理で広く使われる「運転日報」に、メッセージを記入できるフリースペース付日報と「車両点検表」を配布しています。
提供:東洋フォーム印刷 株式会社
車両管理者が季節、月、日ごとにメッセージを記入したり、運転者が毎日「安全運転の心構え」を記入することで、交通違反をなくし事故のリスクを小さくすることが期待できます。
▲運転日報を3種類(A4,B5.A5サイズ)と車両点検表(B5サイズ)の4種類を同梱しています。
安全運転のための情報共有
1.交通違反の取り締り件数
「交通安全白書」によると、2020年の交通違反の取り締まり総件数(放置違反金納付命令を含む)は716万7363件です。
おもな違反件数
- スピード違反:1,162,420件
- 運転中のスマホや携帯電話使用:309,058件
- 一時不停止:1,604,972件
- 歩行者妨害:290,532件
2.始業時のアルコールチェック
運送事業者では、運転者に対して実施される点呼において、酒気帯びの有無を確認する際に「アルコール検知器」の使用が義務化されています。
運送業以外の企業においても業務運転者への酒気帯びチェックが望まれます。特に飲み会の翌日などは、二日酔い状態で出勤する人も?
3.定期的な免許証の有効確認
運転免許証の定期的な有効確認は必要です。交通違反による免停処分等の有無だけでなく、更新期限を忘れたことによる失効の有無も確認が必要です。
警察庁の「運転免許統計」によると、平成29年の運転免許交付数のうち、失効新規数(更新忘れを含む)は、23万4602件です。毎年24万件前後で推移しています。
また免許証を取得したばかりの人は、初心者マークを車体の前面と後面の両方(地上0.4メートル以上1.2メートル以下の見やすい位置)に装着する義務(1年間)があります。罰則は反則金が4,000円で違反点数は1点です。営業車も対象です。
交通違反の検挙件数は全国で約614万1500件(2022年)違反別件数など
業務中の運転による交通事故
おもな事故の事例です。
千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の児童をはねる事故
2021年6月28日夕方、千葉県八街市の路上で下校途中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、児童5人がはねられ、このうち2人が亡くなり、1人が重体、2人が重傷を負う大変痛ましい事故が発生しています。
ミキサー車が自転車をはねる事故
2020年12月15日:清須市清洲の信号交差点で、横断歩道を渡っていた自転車が左折してきたミキサー車にはねられ、自転車に乗っていた女性(50代)が意識不明の重体ということです。
トラックが自転車に追突する事故
2020年7月26日に愛知県一宮市浅野の国道155号で、自転車に乗った女性(56)が後ろから走ってきたトラックにはねられ、意識不明の重体になっているということです。
トラックが横断歩道で男性をはねる事故
2020年7月5日に、愛知県小牧市大字舟津の信号交差点で、横断歩道を渡っていた男性(51)が、右折してきたトラックにはねられ、意識不明の重体になっているということです。
大型トラックが通学途中の男子中学生をはねる事故
2020年6月19日に愛知県安城市高棚町で、歩道を自転車で走っていた中学1年生の男子生徒(12)が、ガソリンスタンドに入るため左折してきた大型トラックに巻き込まれ、亡くなっています。男子生徒は通学の途中だったということです。
飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、乗用車の運転手が死亡
2020年3月17日に名古屋市緑区大高町の「国道23号」で、乗用車が大型トラックに追突され、乗用車を運転していた男性(45)が亡くなっています。大型トラックを運転していた男は飲酒運転ということです。
トラックに積まれた建材が落下し、対向車を直撃する事故
2019年12月20日に、長野県長野市の市道で、トラック(4トン)に積まれていた建材が落下し、対向してきたワゴン車のフロントガラスを直撃する事故が発生。この事故でワゴン車を運転していた男性が亡くなっています。
神戸市でトラックが車6台と相次いで衝突する事故
2019年9月3日に、兵庫県神戸市灘区で大型トラックが車6台と相次いで衝突し、川に転落する事故。この事故でトラックの運転手(50代)が亡くなり、歩行者を含む7人が重軽傷を負っています。運転手は病気検査のため9日間の休暇を取り、9月2日に仕事に復帰していたということです。
川口市で高校生がトラックにはねられる
2019年8月30日に、埼玉県川口市の交差点で、横断歩道を渡っていた自転車の女子高校生がトラックにはねられ亡くなっています。
京都市南区で、清掃車とタクシーが衝突し7人が死傷
2019年8月21日に、京都市南区の京阪国道交差点で、清掃車とタクシーが出合い頭に衝突し、はずみで2台が歩道に突っ込む事故が発生。この事故でタクシー乗客の男性が死亡、歩道にいた女性が重傷を負うなど、あわせて7人が死傷しています。清掃車の信号無視とみられています。
小学生の女児が大型トレーラーにはねられ死亡
2019年8月8日に、大阪府堺市堺区の府道交差点で小学6年の女児(11)が大型トレーラーにはねられ亡くなってます。トレーラーの運転手は逃走し、ひき逃げの疑いで検挙されています。飲酒運転とみられています。
ながら運転でひき逃げ
2019年7月27日:宮城県大崎市古川前田町の国道で、携帯電話を使用しながら大型トラックを運転中し、男性(42)をはねたうえ逃げた男が逮捕されています。男性は8月に亡くなったということです。
大型冷凍車が乗用車に追突し6人が死傷
2019年6月13日に、滋賀県の「名神高速道路」で大型冷凍車が乗用車に追突し、乗用車に乗っていた男女3人(いずれも20代)が亡くなるなど、あわせて6人が死傷する事故が発生しています。
スマホを見ながらダンプを運転し、男性をはね死亡させる
2019年2月に、東京都杉並区の交差点でダンプカーが右折した際に、横断歩道を歩いていた男性(50)ををはねる事故。男性は死亡しています。ダンプカーの運転手は、スマホを見ながら運転していたとのことです。