水難事故多発のシーズンは過ぎましたが、魚釣りの方はくれぐれもご安全に!
穏やかに見える川も危険が隠れています! 上流での雷雨など気象状況の変化によって、短時間で水量や流れが変わることもあります。
[目次]
このページに掲載している数値は警察庁の「水難事故統計」から出典(利用規約に準拠)しています。数値を再利用される場合は、出典元データーをご使用ください。
川に隠れた危険に気づき
溺れる行為はしない!
2023年に川で発生した事故による死者・行方不明者は248人で全体の約3割(33.4%)で、中学生以下の子どもに限ると約半数です。毎年6月~9月は特に事故が目立ちます。溺れたり流されないために危険やリスクを知り、悲しい事故をゼロに!
川が危険な7つの理由
1.人は浮きにくい
川の水の比重は真水に近く、流れや渦によって空気を多く含んでいる場合が多いため、浮きにくくなります。また水温が低い場合は、体の自由な動きが難しくなります。
2.流れによる水圧で泳ぎにくい
流れが速いと水圧(動水圧)により、自由な動きが困難になります。
3.川底の状態も複雑
上流域の川底には大きな石なども多く、手足が挟まれることもあります。また泥やコケ、ゴミなどの堆積物によって、ケガをしたり足をすくわれることも少なくありません。
大きな岩場が多い川では、激しい川の流れにより川底などが削り取られ、急に深くなる場所があります。大雨のあとは特に注意が必要。
4.急な増水や流れの変化
川は1日の中でも天候になどによって、流れや水量が短時間で変化します。上流で降った雨で急に増水する場合は気づきにくく、場所によってはダムの放水もあります。
中洲でのバーベキューなどでは、増水に気づかず重大事故につながる危険があります。
下記の状況が発生したら、すぐに安全な場所に避難する。ラジオでの気象情報の確認も大切です。 山間部などでは、携帯電話の使用が困難な場合もあります。
こんな前兆や状況に注意!
- カミナリの音が聞こえたら(急な雷雨による増水の危険性が高まる)
- 急に冷たい風が吹く(発達した積乱雲から、上空の冷たい空気が一気に下降するため)ゲリラ豪雨になることもあります。また午前中から気温が高い日は、昼過ぎから積乱雲の発達が増えます。
- 上流からゴミや流木が流れてきた場合。(上流で増水の兆候)
- 急に水が濁ってきたら。
- ダムの放水サイレンが鳴ったら
「都賀川」での事故(事例)[表示]
2008年に神戸市の「都賀川」で、突発的に局所的な集中豪雨が発生し16人(子ども3人を含む5人が死亡)が流される事故が発生しています。14時36分頃に雨が降り始め、4分後に激しい雨になり、15時頃には水位が1.3メートル上昇。(モニタリングカメラの映像では、わずか2分で水位が1メートル上昇したということです)当日14時頃までは晴天で、川遊びや川辺の散歩を楽しむ人が大勢いたということです。
wikipediaからの要約
川の中、中州、河川敷にいる人は、すぐに安全な場所に避難すること。数分で急激な増水が始まることもあり、とにかく早く行動すること!多人数でのレジャーでは拡声器や大音量ホイッスルなどを準備したいですね。
5.流れが速く渦などが発生する場所が多い
- 橋脚の周辺(橋などの下)
- 川岸や堤防にあるコンクリートブロック、消波ブロックの周囲。
- 取水口(田畑に水を取り入れる場所)
- 堰堤(えんてい)=流れを緩やかにしたり、砂防目的の小さな堤防の周囲。
上記以外でも急に深くなる場所、川底の石や障害物など、見かけで危険性の判断が難しいため事故が起きやすい。
▲不規則に発生した渦。このような流れに巻き込まれると、ライフジャケットを着用していても溺れる危険性が大きくなります。{川底の地形や岩などによって空気を多く含んだ水が泡立つ状態。ライフジャケットを着ていても十分な浮力を得られない}
6.事故に気づきにくい
溺れていることを、助けを呼ぶ声や手足をバタつかせる動きや音で気づくとは限りません。水を飲んだ時などは声を出すことが出来ず、事故に気づくことが遅れる場合も少なくありません。特に子どもからは絶対に目を離さないこと。
また海水浴場と違いライフセーバーによる監視を行っている場所は、ほとんどありません。
7.救助が難しい
流された場合は見失ってしまうことも多いため救助が困難です。また捜索するためには、ボートや救命用具が必要です。(川では付近に準備されていることは少ない。)
海水浴場などであれば、監視員等がいる場合も多いため事故時の対応も行いやすい。川では多くの条件で海より救助が困難です。また山間部であれば、救急車の到着、病院への搬送に時間がかかる場合もあります。
子どもだけで遊泳は大変危険です。(写真はイメージ画像)
川の事故で目立つ原因
川は急に深くなる場所、流れが速くなる場所など表情はさまざま。1日のうちでも天候により急変することが少なくありません。
- 川岸から対岸まで泳いで渡る途中で流され、溺れてしまう事故。特に若い人の事故が目立ちます。体力を過信せずに、気づかない危険が潜んでいることを忘れないようにしましょう。
- 大雨などによる増水。「前日までの雨で普段より水位が高く・・」といった報道が多くみられます。レジャー当日だけでなく、お出かけ前までの気象状況にも注意する必要があります。(魚釣りでの事故原因に多くみられます)
- 浮き輪などの遊具、サンダルなどが流され取りに行く途中で溺れる事故。子どもに多い事故です。(遊具などが流されても取りに行かないように指導。年少の子どもは自分の持ち物に執着する傾向があります。「流されてもまた買ってあげる」よりも、事前に予備を購入して見せておくほうが効果的です)
- 川底の岩などに足を挟まれることで溺れる事故。(子どもに多い)
- 河川敷でのバーベキューなどで、お酒を飲んだあとに川に入って溺れる事故。
- 水上バイクの事故では、バナナボートなどを引っ張っている時の事故が目立ちます。
- 子どもの事故では、キャンプやバーベキューなどで訪れた際、大人が気づかないうちに川に入って流される事故も目立ちます。特に多人数の参加では、監視の目が届きにくいため、事前に子どもの命を守るために厳しい指導が必要です。できれば拡声器や救助用の浮き輪なども準備するようにしましょう。
仲間とのレジャーでは、油断が生まれる
川の事故に限らないですが、仲間や友達と一緒の場合(特に若者や子ども)は、同時に2人以上が溺れる事故が目立つようです。海では遊泳禁止の場所で泳ぐ、川では橋の上からの飛び込みなど、危ないと感じていても集団心理や冒険心が強くなり、危険に対する心理的な抵抗が失われるのかもしれません。1人でも100人一緒でも水難リスクは同じで、自然に対して少しでも油断すれば、命を落とすことを考えたいですね。
事故は瞬間的に発生します
川は短時間のうちに水量や流れが変わることも少なくありません。一部では「溺れたら、溺れそうになったら、浮いて待て」などといわれているようですが、流れがない場所、または穏やかでライフジャケットを着用している場合などに限られます。
水遊び中や遊泳中に水を飲んでしまったり、鼻から吸い込んでしまうだけでも呼吸困難になります。(学校のプール等で経験した人も少なくないと思います)上流からの冷たい水、突然に深みにはまったり、恐怖を感じるほどの速い流れや渦に遭遇した場合などは、パニック状態になり冷静な行動は困難です。
突然に溺れます!
「今から溺れますから、浮いて待ちましょう・・」はありません。事故は突然に予期できなかった状況で起きます。
(1)そもそも溺れるとは・・
自分の意思で体が動かせなくなる
- 水を飲んだりして呼吸困難になる(個人差はあるものの5分を超えると臓器や脳が深刻なダメージを受け、10分程度で心肺停止になり、その後5分経過で救命率は20%以下)
- 子どもの場合は鼻と耳とをつなぐ耳管が短いため、強い水流によって耳の奥まで水が入ってしまうと、中耳内の圧力が高くなり内出血を起こし三半規管の麻痺が発症。めまいや最悪の場合は意識を失い溺死につながります。また子どもに限らず、ライフジャケット着用で呼吸を確保でき、浮くことが出来たとしても耳に水が入ると平衡感覚が失われ、姿勢維持は困難になります。また波や水流によって周囲の音や声が聞こえないこともあります。
- 深みにはまったり、手足を岩などに挟まれ身動きがとれない。
- 冷たい水で運動機能が失われる。
- 自分の泳力を超えた流れや渦に巻き込まれる。
「河川財団」の調査によると、川での事故(2003年~2019年)では、水難者の約78%が死亡・行方不明ということです。川で溺れた場合は命を失うリスクが大きいと言えます。溺れたらどうする?よりも、溺れるかも知れない!を想像し、危険な行為、場所や状況などの情報を共有して溺れないようにすることが大切です。
(2)報道等で聞く「心肺停止」
溺れて心肺停止になると5分経過で救命率は20%以下に。予後などを含め医師から寄稿いただきました>>
ライフジャケットは必須です!
川遊び、渓流釣りなどのレジャーでは、命を守るシートベルトと同じくらい「ライフジャケット」は重要です。ライフジャケットの着用で溺れることを防ぎ、もしもの時は救助されるまでの時間を作ることができます。水深に関係なく着用することが必要です。
小さな子どもでは大人のひざ下(数十センチ)ほどの水深でも、死亡事故が起きています。体重が軽く体脂肪も少ない子どもは、大人が考えるより水流の変化、川底の障害物に影響を受けやすくなります。(未就学児は親と一緒であっても水に入らないことが一番です)
- 浅瀬で遊ぶ
- 川底の石などで転ぶ・コケや泥、砂で滑る(横になった状態)
- からだ全体に水流を受け流される
- 流された子どもを追いかけることは困難
(1)大人は子どもより下流側
ライフジャケットはもしもの時に救出されやすくなりますが、反対に流れや強い風の影響を受けやすくなります。子どもと遊ぶ場合は、大人は常に子どもより下流側で、かつ常に手の届く範囲にいることがポイントです。
(2)ライフジャケット着用で流されたら
- 姿勢は仰向けで足は下流方向に向け、つま先は上に向ける。
- 川底に足がつきそうでも立とうとしてはダメ。岩などに足がひっかかる危険があります。
(3)子どもからは絶対に目を離さない!
もしもの時にスグに救助できる場所から見守りましょう。スマホに夢中になったり、河原でお酒を飲んでるようではダメです。また川底に足をとられ、水を飲んでしまった場合は声を出して助けを呼ぶことは困難です。「子どもの事故は静かに溺れる」ともいわれます。
「ちょっと目を離した間に・・」といった後悔にならないように。
川での事故事例
事故の多い全国のおもな河川
レジャー人口が多い河川では事故も目立ちます。
地域別の河川(上記を含む)
くれぐれもご安全に!
今年は6月から子どもの事故が目立つようです。海を含めて7月と8月の事故状況と対策をまとめています。
過去5年の7月と8月だけで水難者は2,981人、死者・行方不明は1,177人
各チラシはPDFで表示・印刷できます。低画質なため印刷される場合はA4(タテ)をおすすめします。(子ども向けは小学4年生以上が対象)
#水難事故