火災の不安を消すために!
全国的に空気の乾燥した日が続いています。1月は建物火災がもっとも多い月です。火災の怖さは1度に複数の死傷者が発生、近隣へ被害が広がることも少なくないことです。
[目次]
このページに掲載している数値等は、消防庁の統計資料(PDF)および資料から出典し、表やグラフは当サイトで作成。(再利用はご自由に)#火の用心
火災の発生状況を知る
全国で発生した火災の総発生件数は3万8659件[2023年]です。(前年より2,345件多く3年連続の増加)1日あたり106件の火災が発生していることになります。
建物火災は12月~3月に多く発生!
建物火災(住宅を含む)は年間で2万0968件発生。12月~3月に多く発生しています。月平均で見ると4月~11月は1,606件で、12月~3月は2,031件(1.26倍)です。1月がもっとも多く2,161件発生し、4月~11月の平均に比べ1.35倍です。
※建物以外を含むすべての火災では3月が最多です。
※順位・内訳は上位のみ掲載しています。
(1)おもな内訳
- 建物火災:20,968件
(うち住宅:11,293件) - 車両火災:3,523件
- 林野火災:1,290件
(2)死傷者数は7,231人
- 死者数:1,500人
(うち住宅火災は977人。※自殺を除く)
- 負傷者数:5,731人
(3)建物火災のおもな内訳
- 一般住宅:7,383件
- 共同住宅:3,564件
- 併用住宅:346件
(4)住宅以外のおもな建物
- 特殊複合用途:2,094件
- 工場・作業場:1,767件
- 事務所:788件
- 飲食店:576件
(5)火災の発生が多い月
- 3月:4,677件(12.1%)
- 1月:3,643件(9.4%)
- 2月:3,625件(9.4%)
(6)火災の発生が多い時間帯
- 14時~15時:14.0%
- 10時~11時:13.8%
- 12時~13時:13.7%
曜日別ではもっとも多いのが日曜日(14.9%)次いで木曜と金曜日で、いずれも13.6%です。
都道府県
出火率からみた火災リスクがもっとも高いのは茨城県、次いで山梨県、大分県の順です。
(1)建物火災
順 位 |
都道 府県 |
建物 火災 |
1 | 東京 | 3,077 |
2 | 大阪 | 1,427 |
3 | 神奈川 | 1,245 |
4 | 愛知 | 1,076 |
5 | 埼玉 | 1,063 |
6 | 千葉 | 984 |
7 | 北海道 | 963 |
8 | 兵庫 | 813 |
9 | 福岡 | 739 |
10 | 茨城 | 620 |
(2)出火率
順 位 |
都道 府県 |
出火率 |
1 | 茨城 | 4.81 |
2 | 山梨 | 4.61 |
3 | 大分 | 4.57 |
4 | 栃木 | 4.51 |
5 | 山口 | 4.43 |
6 | 鹿児島 | 4.26 |
7 | 高知 | 4.18 |
8 | 長野 | 4.14 |
9 | 宮崎 | 4.14 |
10 | 島根 | 4.04 |
出火率は人口1万人あたりの火災件数(全国平均は3.08)です。出火率が高いほど、火災のリスクが大きいといえそうです。
出火率は1.73で全国でもっとも低くなっています。(33年連続)富山県の活動をお手本にしたいですね。石川県、福井県も毎年出火率は低いです。北陸地方で冬は寒く暖房を使う期間が長いにも関わらず、全国平均を大きく下回っています。
すべての都道府県データー
出火率ワーストは茨城県
次いで山梨県、大分県…
住宅火災の発生原因
住宅火災での出火原因
2023年の1位~10位です。「こんろ」と「たばこ」は毎年同じ順位です。
順位 | 原因 | 件数 |
1 | こんろ | 1,744 |
2 | たばこ | 1,355 |
3 | ストーブ | 770 |
4 | 電気機器 | 745 |
5 | 放火 | 715 |
6 | 配線器具 | 683 |
7 | 電灯電話等の配線 | 513 |
8 | 灯火 | 328 |
9 | 放火の疑い | 311 |
10 | たき火 | 174 |
大雨による建物の浸水被害にあわれた方は、漏電による火災にも注意が必要です。またコンセント内部のホコリなどに水分付着などが目立つと漏電の原因になります。
コンセント内のホコリも清掃 | 漏電チェック |
コンセント内を含め配線機器の清掃には感電リスクがあります。ブレーカーを落としてから行う、感電防止手袋の使用など十分な安全対策が必要です。(有資格者による漏電チェックをおすすめします)
特殊な原因で発生する火災[表示]
発生件数は少ないものの、太陽光による収れん火災、住宅用ワックスなどが出火原因になることもあります。
ロボット掃除機 | ロボット掃除機が電気ストーブなどにぶつかり、ソファーなどに接触することでの火災。 |
住宅用のワックス | 油の成分が空気中の酸素と反応して自然発火。(フローリングワックスなどを行った時は、使用した布を放置しないこと) |
アルキド樹脂系塗料 | ペンキやインクでの自然発火。塗料のついたウエス(布)を束ねたり、重ねたりして放置すると 酸化反応熱による発火の危険性。(塗布した物では発火の危険性はありません) |
生ごみや木くず | 大量放置した場合は、内部での発酵による熱が発生。 |
室内飼いのペット | 猫のオシッコによる配線のショート、犬が調理器具、暖房器具などのスイッチを押すことが原因となったもの、またウサギ(げっ歯類等)は、電気コードをかじるこで発火の原因になります。猫(オスが多い)によっては、室内の行動範囲に新しい電化製品などが設置された場合、オシッコをかけるマーキング行動をすることがあります。ペットの留守番時にはコンセントを抜きましょう。 |
収れん火災 | 水の入ったペットボトル、鏡、アクセサリーの吸着盤などが太陽光を収束(レンズ効果)させ、可燃物に当たることで発生する火災。太陽の高度が低い秋から冬に発生しやすいといわれています。 |
リチウム電池による火災が増加
スマホやノートパソコン、デジタルカメラ、コードレス電化製品などで使われる「リチウムイオン電池」は、電解液に燃えやすい物質を使用しているため、純正品以外を使用すると破裂によって電解液が漏れ出し火災の原因になるケースも。また多くのバッテリーで使われている有機電解液は、人体への有毒性、環境への残存性も高いということです。
リチウム電池の発火[消防庁の動画を表示]
下記は東京消防庁が公開している動画です。(発火直後から激しく燃えます)リチウムイオン電池の破裂が始まる8分20秒頃から再生します。発煙・発火の怖い状況は9分30秒頃からご覧ください。
リチウムイオン電池が原因の火災は充電中だけでなく、熱や外部からの圧力にも弱いため車内や暖房器具の近くに放置、燃えないゴミに出されものがゴミ回収車や処理施設で発火する事故も発生しているということです。
放火による死者は266人
死者が発生した火災の出火原因のうち、放火(疑いを含む)は252件発生(前年比+20件)しており、266人(同+22人)が亡くなっています。全火災による死者1,500人の17.7%で、5.5人に1人が放火(疑いを含む)の犠牲者です。
(1)放火が多く発生した月
- 3月:452件(11.7%)
- 12月:390件(9.5%)
- 1月:385件(9.4%)
※すべての放火件数
(2)放火の発生時間帯
- 16時~17時台:396件(9.7%)
- 20時~21時台:359件(8.7%)
- 22時~23時台:335件(8.2%)
※時間帯不明:616件(15.0%)
放火は狭い地域で連続して発生するケースも少なくありません。放火または疑いがある火災が発生した場合は、地域の安心メール等からの情報を活用し、放火を防ぐ対策を共有することが大切です。
(3)放火対策
- 家の周囲に可燃物を含め物を置かない。
- ゴミ出しは指定日以外に行わない。
- 監視カメラの設置。
- 集合住宅の駐輪場などはセンサーライトの設置。
- 空き巣対策と同様に、狙われない環境づくりが大切です。
現住建造物放火罪(人が住んでいる建物・乗り物などへの放火)は、「死刑または無期、5年以上の懲役」と非常に重い罪です。
火の用心(チラシなど)
▼消防車のサイレン(再生ボタンで音が出ます。ご注意ください)
買い物や散歩中に消防車のサイレンを聞くと、まさか私の家ではと心配になるわねー。
お散歩の途中で慌ててお家に戻ったこと知ってるよ。
サイレン+警鐘「ウ~・カンカンカンカン」は火災出動、「ウ~、ウ~」だけの場合は、火災以外の出動(交通事故などの救急現場で、消防隊員の応援が必要な時など)ということです。
(1)自治会・町内会向けチラシ
- 自治会や町内会などで世帯や個人向けに配布・回覧用のチラシです。
- 画像は拡大表示、文字のリンク先でPDFで表示・印刷できます。(印刷はA4タテを推奨)
まとめてダウンロード
[zip形式]2.25MB
▲上記のチラシ①と②のPDFを同梱しています。
①は一般向けチラシ、②は多言語チラシ(英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語・タガログ語)です。①はPowerPointをお持ちの方は簡単に文字等を改変できます。編集用ファイル(ppt)を同梱しています。町内の名称を追記するなど、自由に改変してお使いください。(このチラシのみ消防庁でなく当サイトで作成)
近隣の方と協力しあい火災予防!
(2)事業者・店舗向け
多くの人が集まる場所では、火災だけでなく、地震発生時の避難経路の安全確認もお忘れなく。防災・防火対策がより重要な時期かもしれません。各リンク先(消防庁)で表示・印刷できます。(PDF)
- ④消火器の点検箇所
- ⑤自力避難困難な者が利用する施設における一時待避場所への水平避難訓練マニュアル
- ⑥業務用厨房機器の事故と火災防止
この冬は外食される方も増えると思います。飲食店では早めに消火設備の点検、火災予防、避難経路の安全確認を。
まとめてダウンロード
[zip形式]9.68MB
▲上記のリーフレット①~⑥を同梱しています。いずれもPDF形式です。
火事を防ぐポイント
火災の不安を消すために!
火災のニュース等では焼死と報道されるケースがみられますが、焼死に至る約8割は煙や可燃物が燃えることで発生する有毒ガス(一酸化炭素、塩化水素、シアン化水素など)によって、逃げ遅れることが原因といわれています。
寝たばこでは灰皿にたまった吸殻が燃えるだけで、有毒物質を含む大量の煙が部屋に充満します。煙に気づき目が覚めても体の自由が奪われ、逃げ遅れるケースも少なくありません。
消防庁は住宅用火災報知器の点検(電池切れの確認など)・交換(10年が目安)を呼び掛けています。
(1)3つの習慣
- 寝たばこは絶対やめる。
- ストーブは燃えやすいものから、離れた位置で使用する。
(こたつの中で衣類を乾かさない) - ガスコンロなどのそばを離れるときは、必ず火を消す。
(2)4つの対策
- 逃げ遅れを防ぐために、住宅用火災警報器を設置する。
(10年を目安に交換) - 寝具、衣類及びカーテンからの火災を防ぐために、防炎品を使用する。
- 火災を小さいうちに消すために、住宅用消火器等を設置する。
- お年寄りや身体の不自由な人を守るために、隣近所の協力体制をつくる。
火災だけでなく一酸化炭素中毒にもご注意を。部屋ではガスコンロ、七輪・火鉢や囲炉裏の使用時に危険性が大きくなります。気づきにくい事故であり、換気に注意が必要です。
(3)冬の火災予防
- ストーブ・ファンヒーター付近でアルコール(消毒)スプレーを使わない。可燃性ガスを使うヘアスプレーなども同じです。
- 「乾燥注意報」に注意する。{気象庁が発表する基準は最小湿度が約25%、実効湿度(木材の乾燥具合)が約60%より低くなり、火災が発生しやすく、発生した場合は燃え広がりが大きくなると予想される場合に発表されます}
- 卓上コンロ使用時は一酸化炭素による事故に注意。喚起を十分に行う。
- 加湿器は転倒した場合に、電源タップなどに水がかからない場所に置く(花瓶や観賞魚の水槽がある場合も同じ)
転倒時に配線器具に 水がかからないように |
電気ストーブは寝具の 付近に設置しない |
(4)地震火災から命を守る動画
消防庁が作成したビデオ(3分間のダイジェスト版|字幕あり)です。地震や台風などの災害時に発生する火災について、わかりやすく解説しています。もしもの時にたいへん役立つ内容です。
地震火災発生のメカニズム等を過去の事例をもとに紹介し、対策例として家具等の転倒防止措置、感震ブレーカーの設置、安全装置付きの暖房器具の使用など。
最近は地震が多いね。火災原因の半数以上が電気関係なんだって。
地震も火事も怖いね。これから寒くなると暖房使うし空気も乾燥するから、もしもの時のために動画を見たほうがいいね。本編ビデオ(字幕あり)は被害を出さないための対策を詳しく教えてくれるよ!
本編ビデオはこちらから(約11分)[表示]
初期消火が大切!
秒速で火を消す!放火や爆発事故をのぞき、火災の多くは小さな火から。燃え広がる前の初期消火がもっとも重要です。
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