2014年8月6日に扶桑町の
「私立誠信高校」で死亡事故
愛知県犬山警察署によると、練習試合は同日午後0時40分に始まり、雨のため午後1時ごろに一旦中断。約10分後に青空が広がったため再開した直後に雷が落ちたということです。
マウンドにいた生徒(投手)が倒れたとのこと。グラウンドを囲むネットの柱(約25m)には、12本の避雷針が設置してあった。
落雷死亡事故の概要
- 発生日:2014年(平成26年)8月6日午後1時15分ごろ
- 落雷事故の発生場所:私立誠信高校(愛知県丹羽郡扶桑町斎藤本新須)のグラウンド(運動場)※マウンドの高さ40cm。
- 亡くなられた方:高校2年(17)(身長165cm)の男子生徒。事故当初重体で、翌日(8月7日)に多臓器不全で死亡。
- 事故直後には、倒れた生徒にAED(動体外式除細動器)などを使って蘇生を試み、その後ドクターヘリで搬送。
- 落雷時には、晴れ間が見えていた。(雷は積乱雲の下以外にも、横方向にも落ちます。)
※落雷事故では高圧の電気によるショック(感電)で、心肺停止になる場合がほとんどです。
(1)事故の発生場所
▲私立誠信高校の場所(Googleマップ)
(2)落雷のあったグラウンド(学校の運動場)
(3)当日の気象状況
愛知県内では、8月6日午後から大気の状態が不安定になり、各地で落雷が発生し雷注意報が出ていた。また名古屋市守山区では1時間に100mmのゲリラ豪雨(記録的短時間大雨情報を発表)があり、道路が冠水するなどした。事故のあった扶桑町は、愛知県北部に位置し犬山市に近い場所です。
気象庁が出す雷に関する警戒情報では、雷注意報のみです。警報はありません。(落雷をピンポイントで予測できないため)雷注意報が出たら、十分な警戒と避難準備が必要です。
午前中から気温が高く晴れた日は、午後から積乱雲が発達することが多くなります。(地表の温度が上がり、上空との温度差が大きくなり上昇気流が発生しやすくなるため)
(4)屋外にいて雷が鳴ったら、すぐに避難が重要
事故のあった高校の野球部監督によると、雨のため練習を一旦中断。約10分後に青空が広がったため、再開した直後に雷が落ちたということです。
- 晴れ間が見えても雷が鳴っている雲(積乱雲)の範囲内であれば、落雷の危険性がある。(雷の音が遠くても、雷雲の範囲であれば油断しないこと)
- この事故では避雷針に落雷せず、グラウンド(運動場)にいた人に直撃している。
- 「雷注意報」が出されていることを知らなかった。
グラウンドや公園などの屋外活動中で、周りに建物がない場合は特に注意が必要です。雷雲の移動速度は、時速10km~40km。雷が遠いと判断しても油断せずに、早めの避難が重要です。また金属製品を身につけていても危険性に差はありませんが、傘などの突起物は危険です。
避雷針については、避雷針の高さの約半分しか保護範囲になりません。また運動場など広い場所では人に落ちる場合もあります。(避雷針は建物を守る効果はあっても、屋外や運動場など広い範囲を守ることは困難)
屋外でのスポーツ、レジャーでは、ラジオを準備し気象情報に注意が必要です。
(5)雷を発生させる積乱雲が見えたら・・
- 頑丈な建物や車の中に避難。軒先は危険です。自動車の車内は安全です。しかし自転車、オートバイは危険なため、すぐに降りて避難する。
- 近くに避難場所がない場合は、姿勢を低くする。ただし落雷があった場合、電気(約1億~3億ボルト)がぬれた地面を伝わる場合があるため、手は地面をつかない。(ひれ伏さない)
- 木の下なども危険なため、避難場所にしない。傘なども使用しない。木や電柱からは、4m以上離れる。
- 木造住宅の場合は、できるだけ部屋の中央で待機。窓際は危険です。また入浴、シャワーは避けたほうが安全です。
雷までの距離(目安)
- ラジオに「ガリガリ」という雑音が入ると約50km
- ゴロゴロと雷の音が聞こえたら約10km
- 稲光と雷鳴の間隔が3秒の場合、落雷地点までの距離が約1km
落雷事故での年間被害者数は平均約20人(死亡者数は13.8人)です。※被害者の70%が死亡。最近はゲリラ豪雨の発生、局地的な雷や竜巻も目立っています。十分な注意が必要です。