2016年12月22日に、
県糸魚川市で発生した大規模火災
出火原因や被害状況、消防活動の課題などをまとめています。
糸魚川市(いといがわし)は、新潟県最西端に位置し人口約4万4500人の自治体。面積は約746km²で、富山県と長野県に隣接します。
火災の概要
- 発生場所:糸魚川市大町(被災は本町を含む)
- 発生日時:平成28年12月22日(木)午前10時20分ごろ
- 通報日時:午前10時28分
- 出火場所:大町1丁目の中華料理店(ラーメン店)
- 出火原因:鍋の空焚き
被害状況
- 類焼面積:約4万平方メートル
- 焼失家屋(建物):144棟
- 負傷者数:11人(うち消防団員9名)重傷者はなし
- 死者数:なし
- 被害額:未確定(12月26日現在)
保険金支払額は約12億円
※平成29年1月5日時点(日本損害保険協会の発表)
- 火災保険:11億7517万円(67件)
- 車両保険:987万円(13件)
消火活動などの状況
消火活動は20の消防本部(約1000人)で行われています。
- 午前10時28分:消防への通報
- 午前10時35分:最初の現場到着(6台の消防車を投入)
- 正午ごろ:近隣の消防へ応援要請
- 12時20分:最初の避難勧告
- 午後1時59分に、新潟県知事から自衛隊に災害派遣要請。
- 午後2時ごろ:住宅や店舗など約50棟に延焼し、2人が負傷(軽傷の情報)
- 午後2時ごろから:大町1丁目と2丁目、本町全域と、新鉄1丁目、横町1丁目の一部の(計420戸)でガス栓を閉栓。
- 午後8時50分:ほぼ消火(鎮火の発表は、翌23日午後4時30分)
- 24日午後4時:避難勧告の解除
火災発生時の気象状況
午前10時過ぎに最大風速14.2m、正午過ぎには最大瞬間風速24.2mを記録。太平洋側から水蒸気を含む空気が山を越えることで、暖かく乾燥した空気を日本海側に吹き降ろす「フェーン現象」が発生していたと見られています。
※出火当時は「強風注意報」が発表されていた。
火災の拡大要因と課題
今回の火災による被害の拡大は、下記の要因が報道されています。
- 強風による飛び火が発生。
- 火災発生場所の不燃領域率が低く、建物が密集した地域であったことと、延焼を防ぐ防火対策が十分でなかった。
- 消防力の不足(糸魚川市消防本部の見解)
不燃領域率とは?
不燃領域率は、地域内における道路、公園などのスペース、燃えにくい建物が占める割合を基に算出する数値です。「街の燃えにくさ」を計る指標の一つになっています。(不燃焼失率が70%以上で、焼失率が0に近くなります。)
不燃領域率が20%以下の地域は、火災発生時の最大焼失率が50%を超えるとされています。
今回の火災が発生した地区の不燃領域率は、30%と報道されています。また延焼を食い止める「延焼遮断帯」となる道路はないとのことです。
消防力の不足
人口あたりの消防自動車(ポンプ車)の配置数。
※消防庁の消火力基準
人口 | 消防ポンプ車 |
1万人 | 2台 |
2万人 | |
3万人 | 3台 |
4万人 | 4台 |
5万人 | 5台 |
糸魚川市の人口は約4万4500人で、配置数は基準を満たしていたとのことです。しかし糸魚川市の面積は746km²で、東京23区(約619km²)を上回っており、人口だけでなく管轄面積や建物密集地の状況など、地域の実情を踏まえた消防力の確保が課題とされています。
また応援要請前であっても、近隣の消防本部からの協力が得られる体制づくりなども課題とされています。
<参考>糸魚川市の消防出動件数は16件。救急出動は1923件。(平成27年)
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